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阿川弘之の小説 [小説]

季節は読書の秋。

私は若い頃から本を読むのは好きなのだが、
乱読でジャンルは問わない。

そこで最近は、
今まで読んだ事のない作家の本を読み始めた。

安岡章太郎や阿川弘之の小説だ。

agawa.png

阿川弘之は戦争中、
中国で無線傍受の役についていて、
戦争が終了しても帰国命令が出るまで
中国に数年留まって居たのだが、
その間、今日本で話題のデング熱で
皆やられたと記述してある。
昔は当たり前の病気だった様だ。

そして、子供が生まれた頃、
青山墓地のMさんのお墓に掘ってある
名前が気に入り、
その中からお気に入りの名前を
息子や娘に付けたとか。

という事は、
阿川佐和子さんの佐和子という名前はMさんの
墓石に刻んであった名前という事だ。

「瞬間湯沸かし器」という彼のあだ名も
師匠の志賀直哉譲りだが、
それとは正反対の性格のマンボウこと北杜夫とは仲が良く、
家族同志であちこちの海外クルーズに出掛けている。

今や娘佐和子の方が有名な阿川弘之の本を読むと
その内容から聡明さを感じる。

今後が楽しみだ。


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「流れる星は生きてる」と「旅路」(3-2) [小説]

(3-1から続く)

昭和20年夏、
中国にいる藤原ていさん(母親と幼子3人)は
ご主人と離れ離れとなり、
無蓋貨物列車で新京から北朝鮮の宣川へ移動する。


無蓋と言う事は、
屋根がない貨車だから、雨が降ればずぶ濡れだ。

以前、
森繁久弥の経験談を何かで読んだ事があるが、
やはり彼等も中国からの引き上げ時に、
無蓋貨物に乗り、
同じ様に日本への逃避行を続けたとの事だ。


この家族4人の宣川の町での
毎日の生活が悲惨で、
子供たちの食料を求めて、乞食の生活まで経験する。

そして、
日本人集団が次々に栄養不足となり、
毎日の様に死人が出て、
その人たちを山に埋めに行くのが日課となる。

日本人同士の葛藤、餓え、朝鮮人からの迫害、
ソ連兵からの暴行などなどだ。

その後、ご主人とは再会する。

しかし、南朝鮮に向かう汽車は、毎日の様に
動いているのだが、情報がないので動きがとれない。
頼りになるのは噂だけだ。

そしてある日、
ついに汽車で南下する事を決意するのだが・・・。


(あと数日早くこの南下を決行すれば、
 汽車に乗ったまま南朝鮮側に行けたのだが、
 それは結果論。)

 P1280296-1.JPG


ソ連と米国の話し合いの末、
朝鮮半島の真ん中に軍事境界線が引かれてしまい、
38度線で朝鮮半島は南と北に分断される。

北から南下する汽車は、境界線の前までしか

行かれなくなってしまい、そこから先は歩くしかないのだ!

(3-3に続く)
 


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「流れる星は生きている」と「旅路」(3-1) [小説]

今回も何気なく手にした本の話です。

ハリスさんの本で戦争経験談を
読んだ直後であるのに、
またまた戦争に絡む本を読んでしまった。

藤原ていさんの自伝的小説の
「流れる星は生きている」と
「旅路」だ。

nagareru.jpg

前者は1949年発行で、
後者はそれから30年後に
書かれている。

しかし、
この2冊を読んで初めて
彼女が幼子3人を抱え、
戦後苦労して満州から
朝鮮半島を経てようやく
帰国出来た悲惨な経験が理解できる。

「子供たちが、よく死なないで
 帰国出来たものだ!」

(あらすじ)
諏訪で生まれ育った藤原ていさんは、
見合いをして結婚した相手の男性は
気象台に勤めていた。

勤務地は、千葉県北部の利根川沿いと
あったので調べて見ると
私の住む町だった。

時は戦時下、
気象台長であったご主人(後の小説家の新田次郎)に
赤紙が来る前に、中国東北部(満州)の新京(長春)
への転勤辞令が出た。

しかし、段々と戦争の影が家族を襲う。

そして、
1945年の敗戦。

1945年8月15日に
天皇が敗戦を認める数日前の8月9日、
気象台の家族に南への避難命令が下る。

平和に暮らしていた家族に
日本への逃避行が始まった。

( 3-2に続く )


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再び「松本清張」を読む [小説]

最近、
再び松本清張の本を手にする機会が増えた。

現在は、
彼の生い立ちから、
小説で成功するまでの内容の本を読んでいる。

若い頃の清張は、
小説から受ける力強い人物とは正反対の、
性格の気弱な人物だった様で
貧乏住まいの苦労が描かれている。

40歳半ばから小説を投稿する様になり、
世間の評判が上がるに連れて、
少しずつ自分に自信を付けて行った
様子が感じられる。


私が二十代半ばの頃、
その頃付き合っていた女性と
松本清張原作、野村芳太郎監督の作品
「砂の器」の映画を見に行った事がある。

前日寝不足だった私は
映画の前半の1時間は寝ていた。

しかし、後半1時間の
丹波哲郎と森田健作の刑事が語る
映画の主人公の生い立ちに、
すっかり目が覚め、
私は画面を食い入る様に見つめた。

そして、映画が終了した。

普通は、我先にと席を立つのだが、
今と違い入れ替え制度がなかったとはいえ、
誰も席を立とうとせず、
観客は、全員2回目に上映される
「砂の器」を堪能した。

私が今までに見た日本映画の中で
ベストワンがこの「砂の器」だ。

そのテーマ音楽の「宿命」を聴いてみよう。


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