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笑顔が素敵なYさんなのだが。 [思い出]

Yさんは、
私と同じ町に住む医院の長男で
下に2人の弟がいる。

子供の頃、
そろばん塾が彼と一緒で
一応顔見知りだったのだが、
私は歳の近い3男坊の方が
気が合った。


それから10年後、
大学浪人をしていた私は、
アルバイトで御徒町の
ある上場会社のビルの
清掃の仕事をしていた。

ある日の夜、
室内を清掃している時、
そこにYさんのサラリーマン姿を
見つけた。
おそらく、
彼は残業をしていたのだろう。

その日はクリスマスの日で、
派手なツリーの光や音楽が聴こえ、
浪人の私には
それが眩しく見えた。


それから10年後に、
私もサラリーマンとなった。

残業で、
帰りが遅くなったある日の夜、
私は電車に乗って帰宅の途についていた。

車両を前に移動している途中、
私の目にY先輩の姿が映った。

Y先輩は座席に座っていたのだが、
その両隣の席は空いていた。

彼の顔は赤ら顔で、
足元を見ると靴下のみで、
靴は履いていない。
お酒が入っているようだ。

彼は背が高く、
おまけに体重もある。

彼を知らない車中の人は、
皆彼を敬遠しているようだ。

彼を知る私も当然、
敬遠してその場を素通した。


更にそれから10年後。

私は所帯を持ち、生まれた町から
15キロほど離れた町に住んでいた。

ある日、
何かの用事で地元のコンビニに入った。

品物を探している内に、
白い帽子を被る店長の姿が目に入った。
それは、Yさんだった。


Yさんは確か、上場会社に勤めている
はずなのだが・・・・?
 

 

私は店長のYさんとおぼしき人物に近づき、

「Yさんでしょう?」と呟いたが

彼は、ただ素敵な笑顔で微笑んだ

だけだった。

 

酒の入らない時の彼は、

笑顔の素敵な人なのだ。


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