談志さんが亡くなった [演芸]
落語家の立川談志師匠が亡くなった。
あの人とは、私が二十代の頃
一度だけ話をした事がある。
夏のある日、
中学時代の友人たちと
外房の勝浦海岸に
出かけた事がある。
空は青空でカンカン照りの
海水浴日和だ。
ひと泳ぎした後、
砂浜に寝そべり
全員で甲羅干しをしていた時だ。
私が一番端で寝転んでいたのだが、
ゴロリと向きを変えると
隣に見た事のある
ギョロ目の人物が横たわっていた。
「あれ、談志さんじゃないの?」。
我々は起き上がり、彼に注目した。
「さっき、大島からヨットに乗り
ここに上陸したんだよ」
と彼は言う。
私は今でも読売テレビの
「笑点」を見ているのだが、
彼がその初代司会者だった。
しかし、彼は
その年の春に
笑点の司会を辞めてしまったのだ。
私は、その事が気になっていたので
「どうして司会を辞めたの~、
面白かったのにー」と聞くと
「そら~おめえ~、今度、
選挙に出るからだよ」と
彼は答えた。
暫く話していると、
彼は砂浜に正座して
話を始めた。
どう見ても
高座で落語を語る
彼独特のスタイルだった。
しかし、私が気づいたのは
痩せている割に
お腹が出ていた事だ。
「中年になると、人間はああして
お腹が出るのだな」と
変なところに注目してしまった。
それから暫くして
彼は念願の
国会議員になった。
そして年月を経た後、
その時一緒に
海に行った友人の内
2人が亡くなった。
そして今回、
談志さんも
亡くなってしまった。
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